
ブロックチェーン上の未来国家、Bitnation
Oishi Tetsuyuki, 2015年3月27日
さて、私事ながら先日結婚式を挙げた。はるばるベトナムまでお越しいただいた友人には深く感謝したい。
婚姻というのは、時代遅れになって来ている制度ではある。2名がペアになって生活すること自体は合理性があるが、正規の婚姻という制度だけが良く、 それ以外のひとと差別があるのは、あまり合理的ではない。同性婚もしかりである。この点は、様々な人が議論しているのでこれ以上触れない。
そこで、婚姻を、特定の国や、特定のオーソリティに対して記録するのではなく、グローバルにだれでも参照でき、改ざんの可能性のないビットコインのブロックチェーンに届け出することにした。世界初のブロックチェーン婚になるだろう。
https://blockchain.info/tx/3df6354ef03bc70bd3c8157d01f2349d0a42d1f35b6e67103588bdb4444d934a
こちらがその届出で、結婚式の朝にトランザクションを発し、2015-3-21の00:44:16に、無事にブロックに含まれ、確定した。今後この記録を、誰かが消したり、改ざんしたりすることはできない。
(今回の記録には、ブロックチェーン証明サービス proof of me を利用した)
婚姻や、出生や、死亡、国籍といったものを記録するというのは、国の基本的な機能であるが、そこに切り込んできているサービスが企画されている。それが、Bitnationだ。
婚姻、出生、死亡といったものの記録の他に、個人のIDの発行(パスポートに相当)や、土地や、財産権の記録といった登記ほか、投票(選挙)の機能 など、国家運営に必要な基本機能を揃えるとしている。またスマートコントラクトを利用した、民事契約の体系も整えるとしている。
それをビットコインもしくは、何らかのブロックチェーンに記録し、管理できるようにするというのが概要だ。ブロックチェーンを利用することで、極めて簡便にこれらの記録・登記機能を提供することができる。きわめて野心的なプロジェクトだ。
Bitnation自体は、2つの方向性を打ち出しているようだ。ひとつは、ネット上のヴァーチャル国家としてのBitnation。世界中に散ら ばるノマド的な人々が、Bitnationの機能をつかって、ゆるやかな共同体を形成できる可能性がある。ネグリ=ハートのいうノ<マルチチュード>の可 能性の実験だろう。
もう一つは、国家や自治体、あるいはNPOむけのサービスで、bitnationが提供するアプリを採用すれば、システムコストを削減できるという ものである。前者のグローバル共同体はひとつの夢想だが、こちらは現実的なビジネスとしての路線だ。ガバナンス2.0と称しているが、ブロックチェーンを 利用したあたらしいガバナンスの形を提供する。
これらの自治体向けITソリューションとして実績をあげていき、いずれ、グローバル共同体として、Bitnationが生まれることを期待したい。話は壮大であるが、このくらいの壮大な話が本当に実現していく時代になったとおもう。
私は、Bitnaion の日本のアンバサダー(大使)に就任したので、今後も、Bitnationの話題はフォローアップしてお伝えしていく。
から撮影: http://doublehash.me/569
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